木は乾燥させないと使えない
さまざまな乾燥方法
自然乾燥材は暇がかかる
機械乾燥なら3日で製品化
木材の良さが半減?
柔軟性が失われると何がいけないのか
自然乾燥材は柔軟
まとめ

1.木は乾燥させないと使えない
森や山の生えている木は切ってすぐに使うことはできません。
なぜなら木は最大で50%の水分を蓄えていて夏場に伐採した木からは切り口から水が流れ出てくるほどです。
水分が多いと木材として加工してから変形が大きく狂いやすいのです。
ですので木を木材として使うためにはまず乾燥させることが必要となります。
2.さざまな乾燥方法
木の乾燥は切ってから1~3年長いものでは10年以上かかって行う
自然乾燥が一般的でした。
しかし戦後の住宅不足や高度経済成長に伴う住宅の高需要によって自然乾燥だけでは木材の供給が足りず国の政策もあって機械乾燥が一般化されていきます。
機械乾燥とは文字のとおり機械にいれて木材を乾燥させることです。
機械によって違いますが70度~120度で乾燥させることで通常2~3日で乾燥が行えます。

3.自然乾燥材は暇がかかる
乾燥をさせないと使えない木材の最大の問題は時間とそれに係るお金です。
日本の人口増加に対応するためには今までの木材生産スピードでは間に合わず
また輸入材の増加もあって生産効率の向上が必要となりました。
また自然乾燥には乾燥をさせる一定以上のスペースが必要です。
4.機械乾燥なら3日で製品化
機械乾燥を行うことで1~3年かかっていた木材の乾燥が圧倒的に短くなり
出荷までの時間が短縮されました。
しかしメリットはそれだけではありません。
木材の水分を機械によって抜くことで含水率(水分量)
のコントロールも可能になりました。
含水率をコントロールすることによってより均一な材料を供給することができるようになり製材や加工後の木材の狂い(変形)が少なくなりました。
この狂い(変形)はクレームとして扱われることも多かったので工務店やハウスメーカーは機械乾燥材の使用を標準としていることがほとんどです。
5.木材の良さが半減?
機械乾燥はたしかに効率が良く生産性は上がるのですが木材の最大の良さを半減させてしまいました。
まず高温で乾燥することによって自然乾燥の場合保たれる油分や必要以上の水分がなくなってしまいます。
そして必要以上の水分が失われた結果木材の繊維が潤いを失いパサパサとした木材になってしまいます。
そして世の中ではあまり言わないことですが「柔軟性が失われる」ということが最大のデメリットと私は思っています。
6.柔軟性が失われると何がいけないのか
機械乾燥をした木材は水分が少なくなり収縮をします。そのためしなりや粘りといった
木材本来の柔軟性が失われます。木材の柔軟性が無いと大きな力が加わった際に一気に壊れてしまいます。
大きな力=地震のことです。
現在の住宅は木材もほとんどが機械乾燥材でおまけに柱の端部や筋交いの端部に金物を取り付けないといけなくなっています。
金物はめったなことでは壊れませんが木材は壊れます。
柔軟性が有れば力を逃がすことも可能かもしれませんが機械乾燥材に粘りやしなりといった
ことはあまり期待できません。
7.自然乾燥材は柔軟
自然乾燥は昔から行われている乾燥法で野ざらしにして行ったり屋内で風通しをよくして行ったりします。
時間の経過とともに徐々に水分が抜けていき針葉樹で1~3年、広葉樹で1~10年ほどで
製品として使うことができるようになります。
自然乾燥を行うメリットは無理なく乾燥を行っていないので木材の持つ油分やエキスが適度に残ることと木材繊維の破壊もないため表面を削れば艶や光沢がうまれます。
香りも表面を削るたびに香ります。
そして自然乾燥を行うメリットは木材の特徴である柔軟性を損なわないことです。
古来からの伝統工法による木造建築物が何百年と台風や地震に耐え現在に残るのは木材のメリットを最大限に生かしているからではないでしょうか。
8.まとめ
日本は古来から森林資源に恵まれた土地で木材をつかった建築技術を発展させてきました。
効率化や生産性を向上させることは必要ですが木造本来の耐久性や耐震性が損なわれては
意味がないと思います。
私たち工務店も木材の特徴やメリットを消費者の方へ伝える義務があると思います。

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